「今日はバレンタインだな」 東方司令部。 ロイ・マスタングはいつも通り…ではなかった。 何故かそわそわしている。 そう…今日はバレンタインデー。 ロイはチョコレートを貰えると信じて、いつもより偉そうに椅子に座っていた。 「大佐〜…貰えなかったからって俺らにとばっちりはなしですよ〜」 「何を言うハボック少尉!私を求める美女が何人もいると言うのに!!」 部屋に集まる東方司令部の男共。 誰もがロイの言動に呆れかえっている。 その中でも一番呆れているのがハボック。 逆にどうでもよさそうな感じなのが、アームストロングである。 「ハボック少尉。お届けものが沢山届いております!」 軍の平服を着た、まだ若い兵がやってきた。 彼の手には大きな段ボール箱。 ハボックの代わりにアームストロングがそれを受け取ると、若い彼でさえ両手で持っていた段ボールを片手で持ち上げる。 「ハボック少尉、チョコですかね?」 アームストロングがテーブルの上に段ボールを乗せると、一つ一つ中から物を取り出す。 それは綺麗にラッピングされたチョコを初めとするお菓子の山。 「…えっと…」 斜め後ろから視線を感じるハボック…。 何か嫌な空気が漂っているこの部屋。 何人かは逃げ出そうとするが、何故か扉が開かない。 「なんで開かないんすかーー!!」 ガチャガチャとドアノブを回す。回しまくる。 そんなことをしていうる間にロイがハボックの肩をポンッと軽く叩く。 「な…なんすか…?」 恐る恐る後ろを向くと、発火布の手袋を付けそれを擦ろうとしている。 「ハボック少尉…私よりチョコ貰ってますな…?」 嵐の前の静けさとでも言うのだろうか…。 誰もが二人を見守っている。 どんどん顔を近づけてくるロイ。 ハボックも後ずさりをするが、とうとう壁についてしまった。 パチンッ! 音と共にロイの手から炎が出、ハボックは炎に包まれる。 「チョコは没収だ、没収」 ロイはアームストロングから段ボールを 何故か口笛を吹き、ご機嫌がよさそうに…。 この後、ヒューズ中佐に奥さんから貰ったというチョコ自慢の話を延々と聞かされるハボックの姿があったとか。 The End
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